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相続人の廃除
親族への事業承継
廃除とは、財産を遺す者の意志に基づいて、相続権を剥奪することをいいます。
廃除された人は、財産を遺す者が「廃除の取消し」をしない限り何も相続することはできません。
ただし、廃除は手続きを行えば必ず認められるわけではなく、廃除しようとする人が次のいずれかに該当し、家庭裁判所が審判を下すことではじめて行うことができます。
財産を遺す者を虐待した場合
財産を遺す者に重大な侮辱をした場合
相続人となる者が著しい非行をした場合
財産の大部分を勝手に処分した、重大な犯罪(強盗、殺人等)を犯した、長年の不貞行為や度重なる多額の借金を繰り返すなどして家庭を顧みない等、廃除は、与える影響が大きいので喧嘩をしたときに殴られた、暴言を吐かれたという理由だけでは、なかなか認められないようです。
廃除の対象者
廃除の対象となるのは『遺留分を有する推定相続人』です。
具体的には、財産を遺す者の推定相続人が配偶者や子、父母などになります。
推定相続人が兄弟姉妹になるときには「相続人の廃除」はできません。
兄弟姉妹は遺留分が認められていないので、廃除をしなくても、遺言書を書くことで兄弟姉妹に財産を遺さないようにすることができるからです。
推定相続人が兄弟姉妹であって財産を渡したくない場合は、必ず遺言書を作成するようにしてください。
廃除の手続き
廃除を行うときは、次の2つの手続きが必要です。
推定相続人廃除の申立(家庭裁判所)
まず初めに『推定相続人廃除の申立』を家庭裁判所に行います。家庭裁判所は申立を受け付けると、申立人から事情を聞くなどして調査を行い、許可するかどうか審判を下します。
推定相続人廃除届の提出(市町村役場)
家庭裁判所で廃除が確定すると、10日以内に『推定相続人廃除届』を市町村役場へ提出します。廃除された人の戸籍には、その旨の記載がされます。
なお、廃除は財産を遺す者が生前に行うだけでなく、遺言書によって行うこともできます。遺言書で行うときには、遺言執行者が手続きを行うことになります(遺言執行者については「遺言執行者」で)。
廃除の取消し
財産を遺す者は、手続きによって廃除した人について、いつでも「廃除の取消し」を請求することができます。
廃除の取消しは、財産を遺す者が生前に行うときは本人が、遺言書で行うときは遺言執行者が手続きを行います。
取消しが行われることで効果が消滅し、廃除されていた人は財産を相続することができるようになります。
ポイント
廃除は、代襲の原因になります。
具体的には、財産を遺す者がの廃除によって子の権利を奪った場合、廃除された子に子(財産を遺す者にとっては孫)がいれば、子の子(孫)が廃除された子の分を代襲します。